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無限ゲームとビジネス

  • ケースエッジ
  • Oct 14, 2024
  • 3 min read

私が英語力の維持も兼ねて、よく見るyoutube channelに米国における実務家的なリーダーシップの権威であるサイモン・シネック氏のchannelがあるのですが、その中でも結構この概念や志向が面白いと思った、彼の提唱する「無限ゲームとビジネス」について語れればと思います。

 

この「無限ゲームとビジネス」というのはまさに我々が生きるこの社会の縮図を表現した秀逸な概念と思っておるのですが、動画タイトルは"If You Want To Be SUCCESSFUL In Life, Master This ONE SKILL! | Simon Sinek"(邦訳:人生で成功したいなら、この 1 つのスキルをマスターしましょう!)という少し怪しげなタイトルとなっておりますが、中身はちゃんとしています。


 

この動画でシネックは、「有限ゲーム」と「無限ゲーム」の概念について説明しています。「有限ゲーム」には固定されたルール、プレイヤー、そして勝利を目指す明確な目的がある一方で、「無限ゲーム」には変動するルール、未知のプレイヤー、そしてゲームを続けること自体が目的となります。シネックはまさしくビジネスは無限ゲームそのものであると主張していますが、多くのリーダーは競争相手を打ち負かし、ナンバーワンになることに焦点を当てた有限的な思考でアプローチしており、それが信頼、協力、そしてイノベーションの低下を招くと述べています。つまりはどういうことかというと、多くのリーダーは本来無限ゲームであるビジネス領域に、有限ゲームに勝つための思考で挑んでしまっている(そして結果として、失敗している)というから驚きです。

 シネックは、無限的な思考で人を利益より優先し、信頼の文化を育て、間違いを認め、組織を長期的に維持するための継続的なイノベーションを促すべきだと提唱します。また、心理的安全性の重要性や従業員に対する真のケアが、最終的により成功し、利益を上げる企業へとつながることを説明しています。 従業員に対するケアというのは、シネックの主張では、「利益よりも人を優先する無限的な思考」のことであり、彼は、成長を優先し「人は財務目標を達成するために重要だ」と言うCEOと、まず人を優先し「人を大切にすれば財務目標は達成できる」と考えるCEOの対比を示したのちに、後者の思考法が、より成功し、革新的で、長期的に利益を上げる企業を生み出すと主張します。

 彼の主張から察するに、要はリーダーが従業員を利益のための単なるリソースとしてではなく、価値ある存在として扱う、というのがこの無限ゲームで最終的に勝利する最重要要因ということかと思います。もちろん、シネックの意見は確からしいけれども、人(経営者)によってスタンスは違うと思いますし、特に資本主義は、株主利益主義を前提に明確に短期的な成長・利益創出のスタンスを取っているので、やはり有限ゲームで動くのが吉(株価に直ぐ反映されて、株主満足・自分も御の字)というのは、一定有り得るのかなと感じます。一方で。一方で、日本でもこういう主張がもっとあってよいのかな、そのような思想家が前面に出て、民意を獲得し、社会がもっと良い方向に向かえばめっけもんじゃんと思ってしまい、今後「無限ゲーム」志向のリーダーシップ思想家の方が出てくることを夢見てなりません。

 

ちなみに、シネックは、著書『WHYから始めよ』が超有名で(なんかイシューから始めよ、みたいですね)、成功するリーダーや企業は、自分たちの「なぜ」を明確にし、そのビジョンや目的に基づいて行動しています。シネックは「ゴールデンサークル」というフレームワークを提案しており、それは「なぜ(Why)」「どのように(How)」「何を(What)」という三つの問いを中心に企業戦略を考えることを強調します。顧客や従業員を引きつけ、長期的な成功を収めるためには、この「なぜ」を明確にして、それに基づいて行動することが重要だと論じています。邦訳もあるようですが、原文が絶対的にお勧めです。



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