top of page

どうしてこの資本主義社会はこんなにも残酷無慈悲なのであろうか?

  • ケースエッジ
  • Oct 8, 2024
  • 3 min read

Updated: Oct 14, 2024

 現代社会において、組織の在り方や人間の生き方は、「資本主義」を前提としたボトムアップ的システムにより定義されているというのは、仕事中心の近代社会で「労働者」として生きる我々が、自分自身が株式価値を最大化するための丸で一種の「消耗品」であるかのように扱われ、人生を疲弊していると感じる局面を相応に多くさせているのではなかろうか?

 世はまさに「大残酷資本主義時代」であり、株主価値最大化が最優先される中で、株主から委任を受けた経営者(一重に、彼らも歯車の一つであるのだが)が企業の、つまりは株主のための利益追求を必死に行っていく中で、従業員である我々労働者を酷使し、最悪の場合には過酷な労働環境を課し死に追いやる、という事例も随分に多くなっているように思う。実際、厚生労働省の「過労死等の労災補償状況によると、2015年には過労死の認定件数が93件であったのに対し、2020年には131件に達した。

 

 このように、過重労働による死亡件数は増加の一途をたどっており、株主や彼らから経営を委託された経営者達は、労働者を自らの利益追求のために、死ぬまでコキ使って良い 「消耗品」なのだと、口には表立って言わないが心のどこかではそう考えている節さえある。結果として、生活者としての労働者の幸福は二の次とされているにもかかわらず、当該状況に対し、官民一体となった解決策の提案や施策は殆ど行われることがなく、むしろ、前岸田政権下においては資本主義をさらに促進する施策が次々と打ち出された

 

 例えば、企業投資を促進するための減税策やスタートアップ企業への支援強化、「貯蓄から投資へ」を掲げたNISAの改定など、これらの施策はすべて株価上昇と資本家の利益増加を結果的には目的としたものとなっており、その意図したとおりに「持つ者(資本家)」と「持たざる者(労働者)」の格差はどんどん広がったと言えよう(そしてもちろん私は持たざる者である)。日本銀行のデータによると、2020年から2023年にかけて、資本家層の資産総額は急増し、2020年には富裕層上位1%が保有する資産は約250兆円であったのに対し、2023年には300兆円を超えたと報告されている。なお、世界銀行の世界不平等データベースによれば、2022年時点で国内の富裕層10%が保有する日本の資産は44.2%とされており、これは先進国では米国の48.3%に次ぐ水準である。このデータが示すのは要するに何かというと、日本における持つ者と持たざる者の格差が、格差大国とされる米国とほとんど差異がないという現実であり、これが一般にはあまり知られていない事実である。

 

 一方で、労働者の実質賃金は上がらず、むしろ生活コストの上昇によって生活はより困難になっているというのは、労働者・ひいては一般消費者・生活者である我々が一番感じている事ではなかろうか。厚生労働省の統計によると、2020年から2023年にかけて労働者の実質賃金はほとんど横ばいか、わずかに減少しており、2022年には前年比で約0.9%の減少が見られたというように、「持つ者」はコストプッシュ型で上がる株価増による恩恵を享受できるものと相応に推察できるが、「持たざる者」はコストプッシュの影響を受けるだけである。このように、岸田政権の施策は資本家の利益を増大させる一方で、労働者との格差を悪化させる結果を招いたということを我々はしっかり後世に伝えねばなるまい。政府が掲げる政策の多くは、資本主義の論理を加速させるものであり、労働者の幸福や生活の質を向上させるための対策はなおざりに、むしろ環境の悪化さえ招いているのが現状である。このような状況が続く限り、我々は本当の意味で「人間らしい生き方」を取り戻すことは難しいでしょう。


・・・to be continued

Comments


bottom of page